2014-10-01から1ヶ月間の記事一覧

故に全き自由を得るためには、現実の人為的な歪みと必然的な歪みを除去する以外にはない。人為的歪みを除去せんとする者は革命家と呼ばれる。(形而上学ニツイテノNOTE)

この「形而上学ニツイテノNOTE」という章は初期ノートのうちでも格別にめんどくさいことが書かれていて、若い吉本の思考癖というか抽象癖というものを知るには格好の文章だと思います。ここで引用されている部分でも「自由」というものを吉本が自分の定…

だが必然的な(無意識的な)歪みは、恐らく革命家の意企の外にある。恐らくそれは自覚自体の有償化に頼るより外ない。(形而上学ニツイテノNOTE)

自覚自体の有償化というのは最初に書いたように、自覚ということをさらに意味づけることなんだと思います。自覚を自覚するというか、意識する、考えるということ自体の根底を探るということだと思います。それは無意識の世界を把握すること、つまり「母型論…

怠惰は何も与へることをしない。それは全然与へることをしない。怠惰に与すること長く、且つそれを脱することの苦痛を知つてゐる僕。併し僕は怠惰から得する算段をやつてゐた。僕はそれで、かの礼儀正しい優等生と全然異つた原理を信ずる様になつた。今、定かにそれを述べることは止めよう。(原理の照明)

怠惰とはなまけることですが、漱石も高村光太郎もなまけた時期があるそうです。なまけたから偉大な文学者になったということではないでしょう。しかしなまけた体験をその人がどう考えたかということは、その人の思想にとって重要な気がします。それが「怠惰…

僕らが現実にあるといふことは僕らの生理の限定のうちにあるといふことに外ならない。この生理は内部から深刻に歴史的社会的な現実を投影するものだだ。(原理の照明)

歴史的社会的な現実が投影されるものを生理にまで掘り下げて考えている文章です。この場合の生理というのは人間の身体ということになりましょう。身体は三木成夫の研究によれば、外壁の感覚系と内臓系にわかれるわけです。身体の外壁である諸感覚は時代的な…