2010-12-01から1ヶ月間の記事一覧

批評家は批評についてたつたひとつのことを言ふことが出来るのみである。即ち、ここに自らの宿命によつて構築された作者の像があると……。(〈批評の原則についての註〉)

作者は自分の内面を作品に表現する。その表現は自由に行われるわけです。自由に自分が作りたいものを作るわけですが、ほんとうに自由かといえばそうとはいえないわけで、村上春樹の作品は村上春樹の作品になるし、村上龍の作品は村上龍の作品になります。つ…

あらゆる思考はそれが感性に依存する部分をもつ限り、瞬間的に生起し、瞬間的に消去する。(断想Ⅶ)

そうかこっちの解説もあったんだ。はやまって挨拶をしちまったい(*^-'*)> この文章はつまり感性というのはころころ変わるからですよね。思考というのは脳が行うものでしょうが、脳の思考という出力に対して入力として影響を与えるものを考えると、身体の表層…

人類はすべて二つの階級圏にわかれたる。その一方は、一方の抑圧と搾取のうちに僅かに生存を維持してきたのである。抑圧は当然、精神の財の貯蔵にそのすべてをかたむけることを余儀なくし、一方はその支配の強化のためにすべての物質財を貯蔵し、このために精神を奉仕せしめた。今や二つの階級圏は自らの方法を転倒せねばならない。(断想Ⅴ)

二つの階級圏というのは資本家階級と労働者階級という意味でしょう。農地とか工場とかオフィスビルとかの生産手段を所有しているのが資本家であり、労働力以外の何ものも持たないというのが労働者階級です。資本家は労働者を雇い、自分が所有している生産手…

最早、僕は自分の言葉が他人に全く通じないものになつてゐることを信ぜざるを得なかつた。あらゆる僕に対する批難は僕の陰で行はれたが、それは手にとるように判つた。どうして?何故?このような問ひは僕に関する限り何らの意味も持つてゐない。どうして?何故?こんな言葉は僕には了解することは出来なかつた。(断層Ⅳ)

ちょっとカッコつけた言い方だと思います。若いなーという。 自分の言葉が通じないというのはしゃべってもしゃべっても通じないということです。もはや書くことでしか通じる可能性はない。しゃべり言葉には盛り込める限界があるわけです。しかし書いたって相…