2014-10-11から1日間の記事一覧

怠惰は何も与へることをしない。それは全然与へることをしない。怠惰に与すること長く、且つそれを脱することの苦痛を知つてゐる僕。併し僕は怠惰から得する算段をやつてゐた。僕はそれで、かの礼儀正しい優等生と全然異つた原理を信ずる様になつた。今、定かにそれを述べることは止めよう。(原理の照明)

怠惰とはなまけることですが、漱石も高村光太郎もなまけた時期があるそうです。なまけたから偉大な文学者になったということではないでしょう。しかしなまけた体験をその人がどう考えたかということは、その人の思想にとって重要な気がします。それが「怠惰…

僕らが現実にあるといふことは僕らの生理の限定のうちにあるといふことに外ならない。この生理は内部から深刻に歴史的社会的な現実を投影するものだだ。(原理の照明)

歴史的社会的な現実が投影されるものを生理にまで掘り下げて考えている文章です。この場合の生理というのは人間の身体ということになりましょう。身体は三木成夫の研究によれば、外壁の感覚系と内臓系にわかれるわけです。身体の外壁である諸感覚は時代的な…