2011-07-01から1ヶ月間の記事一覧

無限に下降しようとする精神は、形式的なもののうちに虚偽を見つけ出すだらう。即ち精神の停滞を拒否するだらう。(断想Ⅳ)

無限に下降しようとする精神というのはたぶん倫理的なことを掘り下げるということだと思います。形式的な倫理というもの、たとえば通俗的な道徳とか多数派的な社会観に同調して、そこで思考を止めてしまうのではなく、そこに納得できない虚偽を見つけ出して…

精神にとつて存在がひとつの終点である。(断層Ⅳ)

存在というのは自分自身がいまここにいるという自己の身体を自己が把握することだと思います。それだけは疑うことができないし、そこが揺れ動くとすればそこが深刻な精神の病の根底になる。それは後に心的現象論となる吉本の思想的な発想の始まりだと思いま…

法といふものが今日までのやうに、支配者の特権を無意識的に正当化するために存在するような時代が、永久に継続するものだらうか。無意識的であるが故に、支配者が慈悲者であらうと無かろうと関はりないことで、これが打開せられねばならないことは常に正しいことである。疎外せられてゐる人間性を矢鱈に導入して法の正当化を主張することは正しくない。(〈少年と少女へのノート〉)

疎外せられている人間性を矢鱈に導入して、というのは分かりにくい文章ですが、要は法というものは支配者の特権を無意識に正当化するものであるから、法の枠のなかだけで考えてもしかたがないからその支配構造自体を問題にしなければならないということだと…

経験を解析することは、現実を解析することと同義だ。誰もこれを汲み尽すことは出来ない。(原理の照明)

人を支配する方法というのはいつも自信を失わせることにあるんだと思います。自信を失わせたのちにわれらが支配に服することだけにおまえの自信を回復する道があると慈悲深く指し示す。それが支配の古くて新しい方法ではないでしょうか。支配したがる、仕切…