2013-05-01から1ヶ月間の記事一覧
吉本は宮沢賢治が大好きなんだと思います。吉本が傾倒した同時代の文学者というと高村光太郎や太宰治や横光利一などがいるわけですが、その中でも宮沢賢治への傾倒の仕方は格別だという感じがします。それはたぶん資質というところで最も似ているというか、…
現在の社会で倫理として通用しているヒューマニズムのような倫理の形がどうしても白々しく感じられるという段階が到来していると感じられます。しかしそれに代わる新しい倫理というものが視えてこない。その新しい倫理のあり方というのは、吉本がずっと考え…
この初期ノートは1950年頃に書かれているようなので、つまり敗戦直後の混乱期にいる吉本が書いているわけです。吉本は「精神は抒情の秩序を失ってしまった」と書いています。戦争に敗北し、天皇が人間宣言をし、軍人たちが戦犯として処刑され、進駐軍が…
自由というものは長い長い忍耐のうちにしかない、ということを吉本は後年、自由ではなく「自立」という概念にしたといえると思います。長い長い忍耐をして、気がつけば白髪のおじいさんということになります。それじゃ生きることに疑惑を感じるのも無理はな…