2010-08-01から1ヶ月間の記事一覧
これは具体的に言うと、たとえば吉本が敗戦後に復員してきた軍人たちを見た時の気持ちにあらわれています。復員兵は大量の物資をリュックに詰めて日本に帰ってきた。それを見ている吉本は、徹底抗戦もせずにおめおめと帰国する兵隊に嫌悪を感じる。なぜ国家…
ここで吉本は善悪というものの基準を宿命に求めています。宿命という言葉はあいまいですが、われわれが意識を持つまでにすでに存在しているものが宿命でしょう。意識によって主観的に決定できるものではなく、個々の意識の誕生以前からすでにある関係を宿命…
吉本にとっての倫理という概念は独特です。普通倫理というと道徳的なことを意味するでしょう。道徳とは社会的な行動における善悪を指すわけです。しかし吉本にとっての倫理とは善悪自体ではなく、善悪という価値観が生じる人間の精神の必然性を指していると…
核が存在自体と衝突する状態、という言い方はわかりにくいですが、たとえばあることが正しいとか正しくないとか言われているなかで、そもそも正しいとか善悪という価値を生み出すものは何かというような問題意識を抱くとします。するとここで言うような核、…