2008-10-01から1ヶ月間の記事一覧

「やがてわれわれの時代は、均衡の崩壊といふ現象につきあたるだろう。純然たる力学的均衡が人間精神の倫理的な性格を決定してゐるとして、この均衡の崩壊が、人間精神に何の変化を与えるかといふことは考察に値しよう。われわれの認識が少しも予言といふ機能をもたないとしても。この均衡の崩壊によって、人間のもっている組織に対する畏敬の滅したることは容易に考えられる」(断想Ⅷ)

何を言ってるのか分かりにくいので、少し噛み砕いて考えてみます。均衡というのは社会の秩序のことを言っているのだと思います。社会というものの主な要素は国家、企業、家族、そして個人というものだと考えてみます。こうした要素がある秩序を現実に保ち、…

「組織といふのは人間の精神の理論的判断の集成であることは違ひないとしても、その実られた果実でないことは確かである」(断想Ⅷ)

実られた果実どころか、きのうまでえらっそうに世界を脅していたアメリカ政府という組織は足元のアメリカの一般大衆から腐った果実のように見捨てられようとしています。しかし見捨てたくても結局政府のメンバーを入れ替えることしかできないでしょう。世界…

「組織の下における精神の生産者はつねに疎外される。精神はつねにその深度をもってゐる」(断想Ⅷ)

この文章の前半は具体的に言えば、会社の中で会社の方針や上司の判断を超えて考えようとする人は煙たがられるというようなことです。組織というものは下の方の人間の意向を取り入れようとするか、あるいはワンマン的であるかに関わらず、最終的にはトップ、…

「われわれによって解決されるべき問題は、先づわれわれ自身によって深化せられなければならない」(断想Ⅷ)

われわれによって解決されるべき問題というのは、自分達の生活や社会に関わる問題ということです。それをわれわれ自身以外の者が扱うということは、知識人とか政治家とか官僚とかが扱うということです。知識人とか政治家とかが社会について語り、こうあるべ…