2014-01-01から1ヶ月間の記事一覧
この「無門関研究」という文章は1945年つまり日本敗戦の年に書かれています。吉本は20歳くらいです。無門関研究といっても学術的な研究ではなく心情をぶつけたような文学的な文章です。「無門関」というのは中国の宋代(1200年頃)に無門慧開とい…
吉本はいわゆる理性的すぎるゆえにオカルトとか宗教とかに違和感をもっているという人物とはちがいます。逆にオカルト的なもの宗教的なもの、現世を超越したものにたいへん心を惹かれる資質をもっていたと思います。そうした資質は娘の吉本ばななにも受け継…
ここで若き吉本が述べている漱石の孤独の底には人間性への愛があり、しかしそれがあまりに清潔であったために悲劇を生んだとか、また後半のノートの文章にあるように宮沢賢治の孤独の底には人間性に対する愛は発見できず、それは科学的な修練が人間性への開…
科学的な修練が人間性への開眼に先行したから、人間性への愛を見いだせなかったというのは考えられない気がします。科学的な修練などにたづさわる以前に人間は家族のなかで愛情を見出すものだからです。しかし吉本が洞察したように、宮沢賢治のなかに普通の…