2013-01-01から1ヶ月間の記事一覧

実践によつて現実変革の原理が発見される。併してそれは現実変革の実践へ移行する。(断想Ⅵ)

これは実践という意味が政治的実践ということならば、マルクス主義として昔よく言われていた理論と実践の弁証法的統一というような意味になると思います。マルクス主義の現実変革の理論はマルクス主義の党派が指導する政治的な実践を通して現実の変革を成就…

我々は不思儀にも何らの目的を持つものでない。我々は目的を創り出すことは出来ない。生存の意味がそれを拒否する。(断想Ⅴ)

これは吉本の考え方として何度も登場するものです。つまり目的を持つという以前に我々はすでに無意識の時期としての乳胎児期を持っているわけです。つまりすでに生きちゃってきているわけです。それが生存の意味です。目的というものは我々が言語を獲得し、…

〈反抗の倫理と心理〉反抗の心理のなかに、ひとは例外なく劣等意識を見出さうとする。このことは恐らく正しいだらう。だが何人と言へども現実の桎梏を解き放つことなくして、劣等意識の問題を解くことは出来ない。(断想Ⅵ)

反抗というのは抑圧された者が抑圧している者にあらがうこと、さからうことでしょう。独裁的な政府に対する民衆の反抗、経営者に対する労働者の反抗、教師に対する生徒の反抗、父母に対する子供の反抗。抑圧されているということが劣等意識を生み出す。その…

人間は開花すべき時代をその生涯のなかに有つてゐる。だから人間は未来のために生きるものではない。(断想Ⅵ)

これはマルクス主義的な人間観に対する反抗だと考えるとわかりやすいです。人間は遠くの未来の理想社会のために人生を生きるというようなものじゃない。思想として長い歴史時間を考察することと、100年も生きない短い個人の人生をどう生きるかということ…