2011-05-01から1ヶ月間の記事一覧

生活すること、才能、思想、精神の構造、すべてに自信を喪つてゐる。(下町)

この文章はそのままの意味として受け取って、この文章と関係があるかどうか分かりませんが、自信を喪って落ち込む穴ぼこの世界について書いてみたいと思います。吉本は「悲劇の解説」という著書のなかで太宰治を論じています。吉本の描く太宰治は他者に対す…

僕は倫理性のない思想を尊重することが出来ない。(〈少年と少女へのノート〉)

倫理性というのは自分はどうするのかという自分の人生の選択を賭け、その選択の根拠を掘り下げるなかで姿を見せるものだと思います。それは自分という個が世界をどう受けとめるかという問いを含んでいる思想です。優れた思想にはそうした倫理性が込められて…

生存するとは、精神にとつて判断することを意味する。判断に行為を従はせること。一般にはこれ以外に生存の図式は見つからない。(〈建築についてのノート〉)

これはこの文章に続く部分を読まないとよくわからないんですよ。飯を食うとか眠るとかの生きていく必要が生存するという言葉の意味です。そういう意味の生存のためにはにんげんの精神は判断し行動するということです。するとそこでは判断と行動はセットにな…

精神が一部自閉してゐて誰に対しても開かない。(エリアンの感想の断片)

感覚的にいうと精神が扉がしまるように、万力で絞られるように閉じる感覚というのがあります。ギギギギギと閉まると表情が固くなり、現実から心が遠ざかり、それでも入ってくる現実の言葉や関係にいらだちムカつき怒鳴りたくなる。それは誰にでもある瞬間な…