2016-10-01から1ヶ月間の記事一覧

わたしは、しかたなしに孤独な希望を刻みつけなければならぬ。(第二詩集の序詞(草案))

しかたなしにということは、本当は共同でもつ希望があればいいということです。吉本がこの文章を書いた敗戦後7年目という時期の共同の希望、日本人としての希望といえばアメリカに追従して戦後の復興を成し遂げて豊かな生活をしようということだったでしょ…

ぼくは偶然に出遭ふことがらのなかに宿命の影をみつけ出す。(第二詩集の序詞(草案))

偶然が必然なんだという矛盾を語っています。勝新太郎が「偶然完全」という言葉をよく言っていたらしいです。勝が監督をやるときに台本通りにやらせない。覚えてきた台本なんて死んだものだと言って。その場で出てきた言葉とか、その場で思いついて筋書を編…

人類は未だ若い。到るところに神々の古ぼけた顔がのぞいてゐる。(エリアンの感想の断片)

宗教性を払いのけたように見せているイデオロギー集団のなかにも理念が宗教的であるものが至るところにあるということを言っているんだと思います。吉本は現在の段階では、宗教だけでなくイデオロギーにも宗教性があって、どちらも普遍的な真理には到達しえ…

批評はつねに内と外からなされ得る。内からなされるときは沈黙を以てするより外ない。(エリアンの感想の断片)

沈黙をもってする、というのは書き言葉になる以前の、生活のなかに存在する感情とか体験とか感覚とか痛みとか喜びとかそういうものを通過した言葉をもってする、という意味なんだと思います。インテリぶるなということです。それは普遍的なものから遠ざかる…