2010-02-01から1ヶ月間の記事一覧

「今日一日誰とも出会ふことはなかつた。為すことも何もなかつた。何処から何が生れて来るだらうか。精神は睡眠してゐる。」(少年と少女へのノート)

よしもとばななは吉本隆明の次女ですが、「ブルータス(2010年2月15日号)」の吉本隆明特集のインタビューで吉本隆明の娘として共に暮らすのはどういう感じかを語っています。それは一つ屋根の下でお坊さんや武道家と一緒に暮らす感覚と似ているんじゃないか…

「自由は生きることと正しく等しい限界をもつてゐる。」(少年と少女へのノート)

吉本は自由という概念は駄目なので、自立という概念がいいのだと言っています。それは自由という概念には目に見えない関係を生きることを強いられるという観点がないからです。自由に生きるというのは主観のなかでのみ可能なので、生きてみれば分かりますが…

自由は必然性のなかにある。必然!僕には無限に底ふかい言葉だ。僕は、と或る日、その言葉をせっせと掘り下げてゐるのを感じる。現実が仮象のやうに遠のいたのはそんな時であった。(序章)

一番大切なのは自分にとっての自分の生活ですから、そこからこの文章に関わることを考えてみます。関わることが特になければ、どんな文章でもそんなもんは後回しで、まずは自分の生活を考えるわけですよ、ざっくり言って。私は心配でならない。自分の仕事、…

この鎖国されてゐる国。永久に僕らは孤立文化の跛行から逃れられないのだらうか。(断章Ⅰ)

私が少しだけ習い覚えてきた外国、特に欧米というのは単に文化的なものにすぎなかったと最近つくづく思います。本とか映画とか音楽とか観光旅行程度の旅の知識で作り上げた欧米です。しかし本当に社会を動かしていく労働とか産業とか金融とか政治というもの…