2009-01-01から1ヶ月間の記事一覧

「人類は未だ若い。まだあの前史は終っていない。矢張り搾取なき世界で、各々が暁の出発をはじめるとき本当の歴史が始まるだらう」(風の章)

「あの前史」と言っているのはマルクスの思想の概念で「人類の前史」という意味です。前史が終わると本史が始まるだろう、と考えられています。前史は搾取というものがある歴史で、本史は搾取のない歴史として始まる。それからが各々、つまり一般大衆が、そ…

「若し搾取なき世界が実現するとすれば、今日存在してゐる社会機構とは全く異なった次元で実現されることは確かである。今日人類がとってゐるあらゆる社会形体は、殆んど良きものの萌芽を見出すことが出来ない」(少年と少女へのノート)

社会とか社会機構というのは、アジアの民である私たちには第二の自然のように感じられるものです。つまりあまり考えることの苦手なものです。その社会機構を正確に捉えようとするだけでなく、今ある社会機構とは全く違った次元にある社会機構を想定する、空…

「教会と国家――神権と政権との結合に奉仕してきたあはれな人類!」(「エリアンの感想の断片」42ページ)

教会と国家というのはヨーロッパの話で、吉本の言いたいのは日本のことだから要するに天皇という問題です。天皇ってのは何なんだ、という問題はぶっちゃけ私たちの世代にとっては関心の少ない問題です。天皇とか天皇家というのは、テレビで見るアノ人たちで…

「社会思想史は、社会構造の不合理な部分が淘汰されなければならないことを教へる」(「風の章」50ページ)

社会思想史は社会構造の不合理な部分が淘汰されなければならないことを教える。それは社会思想史が観念の歴史だからです。観念は観念にとって不合理なるものを嫌う。それで社会思想史が生み出したソ連や中共はどうなったか。あるいはアメリカやヨーロッパは…