うら盆 うら盆で 灯籠流せ 灯籠流せ 舟の下で 溺れた子が 抱いて帰る(うら盆)

これも「くものいと」の詩と同じ「和楽路」の最終号、卒業記念号に載った詩だそうです。この詩も完成度が高いと思いますね。スタイルとしては「太郎を眠らせ 太郎の屋根に雪ふりつむ」の三好達治みたいな日本の自然詩人を模倣しているといえるでしょうが、舟の下で溺れた子が流した灯籠を抱いて帰るという暗いイメージは吉本自身のものだと思います。そこには大川(隅田川)で貸し舟屋を営んでいた父親の船に乗って育った吉本自身の川に対するイメージがこめられていると思います。