2015-12-01から1ヶ月間の記事一覧

僕は僕の現実についての判断と、信ずべき正当な方向とが、次第に潜行せざるを得なくなつてゐるのを感じる。しかもこの距離感は増々巨きくなりつつあるようだ。(断想Ⅰ)

現実に対する判断と、信ずるべき正当な方向、つまり理想とする社会の将来のあり方が「潜行せざるをえない」というのは、たぶん吉本の考えが孤立して、主張しても賛同を得られないようになっていくということだと思います。「ぼくが真実を口にするとほとんど…

僕は実験する。だが恐らく僕は実証するひまを持たない。実証とは言はばひとつ

実験と実証というのはどう違うんでしょうか。またそれで吉本は何を言いたいのか。化学の実験が吉本の当時の職業だったとはいえ、化学のことを書いているわけではないでしょう。これは思想のことを言っているんだと思います。実験というのは実験室で行われる…

良く企画された歌を唱ふことが批評である。それ故批評は計量詩である。(原理の照明)

「良く企画された」という意味を社会に対して歴史に対して、また自分の意識や無意識に対してよく把握されているということだとすると、戦後の荒地派の詩というのは良く企画された詩といえるのだと思います。だから計量詩ともいえるし、批評を内包した詩だと…

今日資本家の所得と労働者の所得とを比較すること。賃銀の余剰価値部分率を、資本家の所得との対比において論ずるのは余り意味がない。固定資本量の生態と労働者所得の生態の関係こそ、ヒユーマニズムの経済学的考察の対象であらねばならぬ。(原理の照明)

正直言ってこれは良く分かりません。前段の言っていることはなんとなくわかりますが、「固定資本量の生態と労働所得の生態」というのがさっぱりわからない。固定資本というのは流動資本じゃないもの、つまり工場とか建物とかのことだと思います。しかしその…