2012-12-01から1ヶ月間の記事一覧

我々は生存せんがために生存そのものを持つてゐる。これ以外のあらゆる生存の意味附けは観念にすぎない。観念なるものは一切虚偽である。(断想Ⅴ)

これは吉本の根底にある考え方のひとつです。ひらたくいえば、人はなんのために生きるのかというような問いかけに対する反発です。ひとはなんのために生きるのか、という問いかけ以前にすでに生きているわけです。なんのために生きるかというような言葉によ…

だが我々は生存そのものを、生存そのもののうちに忘却することが出来る。これが救済のすべてである。(断想Ⅴ)

これは生きているということを特に意識しないで生きているということじゃないでしょうか。ということはいずれは死ぬということも意識しないで生きているということです。わたしたちはなんでいずれは死ぬのに、そのことに恐れおののかずにのほほんと生きてい…

直覚といふものは持続するためには速度がいるので、論理はそのために強さがいるだけである。(断想Ⅲ)

論理というのは直覚と直覚をつないでいくものだと吉本は考えていたとおもいます。直覚というのは「ひらめき です。「直覚の持続には速度がいる」というのは、精神には自分の全経験というものを凝縮したり象徴したり暗示したりする言葉やイメージを、一瞬のう…

何故に僕は自分といふものを救助することが出来ないかと言へば、精神は絶えず救助の方向に反撥するからである。(断想Ⅲ)

自分を救助するというのは、自分を安心させるっていうことだと考えると、自分を安心させるためにはとりあえず何かを信じるってことだと思うんです。何かを信じてしまえば価値の秩序ってものが心に生まれましょう。信じているものが上にあって、信じられない…