うら盆で 灯籠流せ 灯籠流せ 舟の下で 溺れた子が 抱いて帰る(うら盆)

とうろうながせ とうろうながせ この繰り返しがリズムです。リズムが言葉をとおして「大洋」を揺り動かします。それが言語の起源だから。そして吉本の詩では川の底で溺れた子のイメージが登場します。リズムが生み出す「大洋」の底に「溺れた子」がいるという吉本のイメージはたいへん暗いものです。

おまけです。
「母型論」の「大洋論」より        吉本隆明

第一段階の「アワワ」音声の水準も第二段階の擬音や前意味的な音声の段階も、この第三の段階にきて(言語の概念が生まれること:依田註)言語としての意味形成にむかうことになるが、それと同時に大洋のイメージの世界は、その特色のうち、とても重要とおもわれる波動を失ってゆくことになる。