2014-07-14から1日間の記事一覧

たれが おまへに 来い と言ふ た おとよ が 死んで しげる が 生れ 木の実が からから(冬)

これは吉本が東京府立化学工業学校に在学中に「和楽路」という学内の文芸同人誌のようなものに書いた詩です。卒業記念号に載っていたそうですから17歳くらいの作品でしょう。これが詩の全文という短い詩です。特徴は韻文だということです。韻をふんで書かれ…

うら盆で 灯籠流せ 灯籠流せ 舟の下で 溺れた子が 抱いて帰る(うら盆)

とうろうながせ とうろうながせ この繰り返しがリズムです。リズムが言葉をとおして「大洋」を揺り動かします。それが言語の起源だから。そして吉本の詩では川の底で溺れた子のイメージが登場します。リズムが生み出す「大洋」の底に「溺れた子」がいるとい…