夕ぐれがくると僕は理性のかげにかくれてゐる情感を放した。情感はひそかに理性の手をはなれて自らの影を拡大するやうだ。僕は鋳型をうちこはして融解するようにすべての規律をも放すのだ。《一九五○・四・三○》(〈夕ぐれと夜との言葉〉)

大庭みなことの対談で、吉本は否定に否定を繰り返した帰り道で他者を許すことができなくてはならないというようなことを言っています。大庭みなこが、その言葉は胸に刺さりますね、と言っていたように私のこころにも刺さります。夕暮れになると吉本は情感を理性から解放し帰り道にはいるわけです。思想の帰り道のなかで他者をゆるす。しかしそれは吉本にとっても誰にとってもむずかしいことですよ。



おまけ

ありません。