夕暗が訪れてきた。台場に二つ、O海岸に数個、船のマストや腹に、灯がつきだした。僕の意想は徐々に暗さを加へてきた。(〈老人と少女のゐる説話〉Ⅵ)

これは吉本の過ごした佃島のあたりの光景でしょう。海があって、夕暮れがくる。誰にもふるさとがあって、その情景がこころの奥のイメージを決定づけているといえるんでしょう。わたしは文京区の山の手と下町の中間のような町に育ち、文京区特有の東大から漂ってくるうさんくさいプライドと、それに反発するような下町の少々神経質ながらっぱちさにもまれて生きてきました。そんなこともたぶん私のこころを決定づけていると思います。あなたいかがですか?



おまけ

ありません。