一つの量から一つの量へと移行することは、一つの飛躍であると考へられる。(断想Ⅳ)

飛躍というのは量から質への変化ということなんだと思います。だからなんなの?ということですが、なんなんでしょう。この断章は倫理について書かれているなかに突然書き込まれているようなものなので、なにを言いたいのかよくわかりません。だいたい発表しようとして書いているわけではないノートなので、そういうこともあるでしょう。逆にいえば、そんな若いころの自分のためだけに記されたものが、いまだに読むに耐えるということ自体が凄いといえましょう。あなた、自分が20代に勝手に書いたノートが大勢の人の目にさらされて、読むに耐える自信ありますか?とんでもないことですよね。

おまけです。

「敗北の構造」(昭和47年弓立社)の「あとがき」より      吉本隆明
わたしの読者は、まだまだわたしが<情況>を失っていないと信じてくれて結構であり、<情況>が大切なところで、わたしの判断や理解の仕方を知ることができるはずである。手に負えなくなったら、ちゃんと手をあげるだろう。まだ、大丈夫だ。