2016-07-23から1日間の記事一覧

悲しい僕らの国の現実。或る者はアメリカ式の感覚攪拌の音楽によつて踊り、或る者はソヴイエト・ロシヤ式群舞踊によつて踊つてゐる。しかし僕の魂は如何なる形式でも舞踏しなくなつてゐる。僕の関心は正しく悲劇的と呼ぶべきものであらうか、この国ではいつも悲惨な運命を負はされざるを得ないものだ。(中世との共在)

音楽というのは音楽そのものを指していると同時に、比喩としてアメリカのイデオロギー、ソ連のイデオロギーのことを指していると思います。アメリカから民主主義として押し付けられるものも、ソ連から社会主義として押し付けられるものにも僕の魂は踊れない…

もの判りの悪い僕の魂のために、ひそかに思考の道をつけてやること。(〈夕ぐれと夜の言葉〉)

これは解説にしようがないですね。もの判りが悪いというのは、どんな音楽にも踊れないという比喩にあるように否定に囚われた魂のことでしょう。それをなんとかするには思考すしかない。わかるということが否定せざるをえない現実を見渡すことのできる唯一の…