2016-04-23から1日間の記事一覧

思考の抽象作用――その苦痛……。斯くて建築群の間には、具象的実在である街路樹が植えられる。これは明らかに和らぎの作用であらう。(〈建築についてのノート〉)

建築というものは抽象的なものだということでしょうね。人類の最初の頃は、自然のなかで寝起きしていたんだと思います。穴倉とか樹の上とか。それがしだいに自然を加工した板とか柱とかで家を作ることになるんでしょう。もうそこには自然そのものから切り離…

常緑樹は建築群の底ではふさはしくない。何故なら其処で季節を感ずるのは、唯風と空の気配と街路樹とからだけであるから。(〈建築についてのノート〉)

常緑樹というのはいつもはっぱをつけている樹でしょうね。それでは季節を感じにくいから、冬には枯れて、春には芽をだすような樹がふさわしいと、なかなか細かいことを言っています。たぶんこのころ思考の抽象作用のなかに埋没していた吉本にとって、自然と…