2016-03-12から1日間の記事一覧

忘却はひとつの選択に外ならない。最も忘却をまぬがれるものは嫌悪である。悲しみも愛憎も決して永続することはない。何故ならそれはたまることはないから。愛憎の思ひ出といふものは総じて在り得べきものではない。これらは過ぎてゆく季節に外ならない。(忘却の価値について)

これは若い時に読んだときにわかったようなわからないような印象でしたが、今読んでもわかったようなわからないような感じになります。確かに激しい愛憎とか悲しみはやがて薄れていくものだと思います。その理由はわたしが思うには、嫌悪というのは対象への…

悲しみは無数の体操の形式をもつてゐる。喜びは単に上下運動とか単純な性質の体操。いかりは全身の緊張で、それは体操の終局。愉しみは小さな緩急律動。(忘却の価値について)

これもいかにも吉本らしい記述です。面白いと思いますが、だからどうということも特にありません。これは自分の思考とか感情とかを自分の論理で押さえたいという執念のある人が書くことです。 おまけありません。