2016-01-23から1日間の記事一覧

実践はいつも動機だけに関与されてゐる。そして人間史は無数の動機の、しかも悲哀ある動機の連鎖のようなものだ……と。これだけは僕の心情が、政治史や経済史から保存しておくべきだと思ふ唯一の痕跡だ。それで僕は虚無の歴史の如きものを僕の精神史のなかにも持つてゐると言はう。(夕ぐれと夜との独白(一九五○年Ⅰ))

動機、つまりこうしたいとかこう生きたいというような動機があって人は行動する。つまり実践する。しかし現実とぶつかって最初にこうしたいと思ったような結果にはならないものだと吉本は述べています。現実のほうから働きかけてくる力があって、その力と動…

神への信仰と従属。それはやがて権力と貪らんへの奉仕を人に教へるのではなからうか。(エリアンの感想の断片)

このたった一つのことを信じ込むということの怖ろしさは、キリスト教だけでなくマルクス主義でも同様だということが初期ノート以降の歴史でも証明されたのだと思います。権力と貪らん、あるいはスケベとか不倫とかいじめとか、男女とか集団内での愛憎のすさ…