2015-09-28から1日間の記事一覧

現実は膜を隔てて僕の精神に反映する。この膜は曲者だ。言はばそれは僕の精神と現実との間にある断層の象徴としてあるわけだが……。この断層は僕の生理に由因するかどうか。(断想Ⅵ)

ここで「膜」といっている概念はあいまいです。「現実」というのも「精神」というのもあいまいだと思います。「生理」というのもあいまい。それはその後の吉本の思想から逆に照らしてあいまいだと感じるわけです。ここには共同幻想、自己幻想、対幻想という…

人が何かをする事さへ確かなら、少し位待つたつて何でもない。〈オーギユスト・ロダン〉(断想Ⅵ)

吉本の「心的現象論」の「序説」が「試行」誌上で始まったのが1965年、「本論」が「試行」の終刊とともに終わったのが1997年。なんと32年間の歳月を費やして「心的現象論」は書かれ続けてきたわけです。「少しくらい待ったって」という言葉の重さというもの…