2014-04-12から1日間の記事一覧

これは日本の生んだ最高の芸能心理家である世阿弥が僕のごとき弱年に遺した条々である 僕は服従し且つ叛く 詩は花ではない けれど花に入り花と訣別しない詩が何の意味を持ち得るだらう 僕は僕の道をゆくと尚も嘯(うそぶ)くのだ(序跋一束)

世阿弥は室町時代の能楽師(その頃は猿楽といったらしいですが)で、世阿弥の能の流れにあるのが現代の観世流だそうです。世阿弥には有名な「風姿花伝」をはじめとする著作があり、ここで吉本が取り上げているのも「風姿花伝」の文章です。 「されば時分の花…

芸術と芸能は違ふ 世阿弥は優れた芸能家であるが芸術家ではない この差異のなかに潜むものこそ僕を導き僕をして拙い詩をすら尚諦めず書かしめるものだ(序跋一束)

芸術と芸能は違う。たとえばビートたけし(昔の)と詩人の荒川洋治は違う。権力との関係でいえば、芸術はけして権力にたどり着くことができない。芸能は権力の太鼓持ちであるが権力の喉笛に食らいつくこともできる。たしかそんなことを吉本が書いていたと思…