2013-12-28から1日間の記事一覧

あるがままの過去を、ないように見せかける必要から、わたしは遙かに遠ざかつているし、ことさら体裁をとりつくろわねばならぬ根拠も、もつていない。(過去についての自註)

この文章は、具体的に考えるとひとつには戦後吉本が評論家として登場したときに「文学者の戦争責任論」を提起したわけですが、吉本は自分が戦争中に戦争を肯定する愛国青年であったことをいっさい隠し立てしなかったことを指すと思います。しかし吉本が戦争…

これは、わたしが虚偽から遠いからではなく、わたしの思想が、「自然」にちかい部分を斬りすてず歩んできたし、いまも歩んでいるからである。(過去についての自註)

わたしが若いころ吉本を読み始めて、こんな考え方にははじめて出会ったという驚きを感じたのは、知識を増やしていくということが人間にとって「自然過程」にすぎない、というところでした。自然過程という言葉は吉本がよく使う言葉ですが、ほっておいても自…