2013-11-09から1日間の記事一覧

どんな種類の文章を書いても、自分を自分以上に表はそうとしたり、又何の意味もないことを意味ありげに書いたりさへしなければ、その人が自然に現はれるものです。(巻頭言)

この文章は吉本が米沢高等工業学校に通っていた時に友人と作った「からす」という同期回覧誌の巻頭言のようです。1943年に書かれたということなので19歳くらいだとおもいます。高等工業学校というのは今でいう工業大学なんだとおもいます。米沢高等工…

僕達はその自分を自然に表はすやうな文章を書くと共に、その表はされた文章を正しく読み取り得る様に努力しやうではありませんか。他人の文章を理解し得ると言ふことは、他人を理解し、正しく洞察し得ると言ふことです。(巻頭言)

他人の文章を理解するということが他人を理解し洞察することだという素朴な文章観もまた吉本の戒律であり思想であるものです。ほかの人間を深く理解しようとして幾多の作品の批評を行ってきたのが吉本の人生だといってもいいと思います。吉本の社会思想や歴…