2012-07-28から1日間の記事一覧

僕らは正しいことをやる奴が嫌ひだ。正しいことはしばしば狡猾に巧まれた貪慾である。倫理が他人がそれに従属すべきもので自らは関知せぬと思つてゐるものは、この正義の士のうちにある。(〈少年と少女へのノート〉)

ここでいう正しいこととは倫理的な意味の「正しいこと」を指していると思います。誰も反対できないような大義名分、あるいは正義、そういうものを大上段に振りかざしてものを言う連中が嫌いだといっています。それはなぜかというと、ひらたくいえば言ってい…

人間は経験といふものなしに宿命を深化することは出来ない。それ故経験とは屡々(しばしば)似非秀才によつて軽蔑されるあれよりも、遥かに複雑な、重たい意味を持つものだ。(原理の照明)

吉本の考えでは胎乳児期に無意識の核の領域が作られます。乳児期を脱し幼児期になると、無意識が意識の領域にむかって拡がっていき、同時に無意識の中間層がつくられます。そして児童期に至って、胎乳児期に形成されたものが現実世界と衝突させられることに…