2012-01-28から1日間の記事一覧

老人は枯れた声で言つた。〈お前のやうな年齢(としごろ)で感じてゐたことは、やがてわしらの年齢(としごろ)になると透明な屑になつて空のなかほどに浮んでゐたりする。やがてお前はそれを視るようになるよ。そんなときどんな風に感じるのかつて言ふのかね。みんな枯れてしまふのさ。世界はすべて枯れてしまふ。〉(〈少年と少女へのノート〉)

これは前に解説したように吉本の自伝的なフィクションである「エリアンの手記と詩」の世界のなかで書いている文章です。老人はおそらくオト先生というキャラクターで、20代の吉本はここでオト先生の言葉を借りて「老い」について空想しているわけです。文…

空虚な精神はその根源を生理のうへに持つ。だが、それにもかかはらず、精神はその空虚の否定を精神によつて行はねばならないだらう。(原理の照明)

「名探偵モンク」という海外のテレビドラマを知っていますか。これは強迫神経症を病んでいる元刑事が探偵となって難事件を解決するドラマです。それから「幼獣マメシバ」とその続編の「マメシバ一郎」という日本のテレビドラマを知ってますか。これはひきこ…