2011-12-10から1日間の記事一覧

独りの少女がゐて……、独りの少女がゐて窓辺に近くピヤノを打つてゐる。ああそれはづつと昔、僕がどこかで視たやうな記憶がある。現在、独りの少女は低脳な唯物論にふけつてゐた。靴のかかとを三分高くする方法についての……。(風の章)

この古臭い、そして女性に対するコンプレックスが露出している部分は吉本自身が公開するには恥ずかしいものだったと思います。「窓辺でピヤノを打つ少女(#^_^#) 私は吉本が育った月島の町を知ってるけど、あんなど下町にそんなお嬢様なんかいないっての。靴…

己れの生涯を忠実に生きぬかないものは、人類の現代史を生きぬくことは出来ない。これは明瞭なことだ。そして現在の僕は何もわからなくなつてゐる。(風の章)

むかしむかしの60年安保闘争の後で、分厚い「安保闘争史」といった書物を書いた学者がいた。吉本の言い分では自分を賭けもせず闘争をやり過ごしておいて、メディアの記事だけ寄せ集めて闘争史なんて書くバカの気がしれないというものだった。他人の戦いを…