2011-11-12から1日間の記事一覧

人はしばしば模倣の上に乗つて、かの青春期を出発致します。そして何日か自分が見知らぬ地点で、視むきもされないで置き去りにされるのを発見するのです。そのときこそ、真にある物を理解するとは、その物を原点からはじめることであるのを知るでせう。敢くて彼は、独りして、貧弱な自分から出発し直すのです。僕にはそれが一九四九年中頃に始まりました。(原理の照明)

ここに書かれていることは吉本が敗戦という体験を経て、戦中に自分が形成した日本と世界の社会観を組み替えていかなくてはならないと感じた時に、もはや頼るべき思想がこの世界のどこかに用意されていると期待することはやめようと考えたということだと思い…

明瞭に言ひ得ることは人間の精神の作用が、その生理に全面的に依存してゐるといふことである。だがこれは少しも精神について解決であることを意味しない。(原理の照明)

それは全面的に依存している、といわなければいいんだと思います。あるいは生理から精神の作用が分離することに論理を与えるしかない。そしてそれはこのノートを書いた後の吉本が自らやりとげてみせていることです。「昨日の我に今日は勝つ」(BY 美空ひば…