2011-08-27から1日間の記事一覧

叙情とは存在の空孔に充たされる液態だ。どうしてそれが必要だらうか。我々が現実に密着すれば、この空孔はそのまま乾燥する。(下町)

叙情というのは感情とか感慨とか詠嘆というような(ああ!)というようなアレですね。それが現実に密着すれば必要なくなるかどうかは疑問です。ただ現実意識が欠如していることが叙情に転化されることが許せないという若き吉本の怒りがあるんだと思います。 …

正しく驚くべき泥濘の道がある。それは僕らの占有せられた現実だ。僕の精神は占有せられることを耻とする。限りなく倦まざらんがために。(原理の照明)

支配秩序と支配秩序に飼いならされた感性の秩序が占有せられた現実です。政治を支配し金融を支配し経済を支配し、テレビや新聞を通じて感性の秩序を飼いならす。そして私たちの内面も占有されていく。それは恥だと吉本は言っているわけです。生きることが限…