2011-03-12から1日間の記事一覧

あの遠くの家へ還つてしまひそうな貧しい少年や少女たち。僕はほんの短いノートを君達のために用意してあるのだ。幸せで富んだヨーロッパの少年や少女たちの精神の内面の出来事についての物語は、君達を慰めるかも知れない。けれど、これは大切なことだが、君達は慰めによつて生きてゆくのではなく、君達の創造によつて生きてゆくのだ。そしてこの国の貧しさや立ち遅れは、君達の創造を歪めたり湿らせたりするし、君達は精神の内面よりも、外面のことで多くの創造をしなければならないかも知れない。これが君達の不幸であるのかどうか、知らないのだ

東北と関東に大地震が起こり、その報道を聞きながらこの解説を書いています。この地震がこれからもどう進行するかわからない状況にありポルソナーレのゼミが成立するのかもまだ不明です。この地震に接して頭から離れない疑問を正直に書くと、この地震は本当…

そして秘やかな夜が来た。勿論、三月の外気は少し荒いけれど、それはあたかも精神の外の出来事のやうだ。夜は精神の内側を滑つてくる。甍(いらか)のつづき。白いモルタルの色。あゝ病ひははやく癒えないだらうか。僕は言ひきかせる。〈精神を仕事に従はせること。〉(夕ぐれと夜との独白)

あまり考えることに執着すると、五感覚的な把握が遠ざかり離人症に似た状態になります。頭で考えることは周囲の感覚的なことを相対的に離れることの上に成り立つからです。だからそれは息をつめることに生理的になるんでしょう。それを吉本は病といっている…