2011-02-12から1日間の記事一覧

僕らを真に束縛するものは、現実そのものであるといふ処まで行つて、あらゆる行為は自由のための、自由の表現となるだらう。(原理の照明)

自由は精神の由緒正しい根源だという若い吉本の発想は、やがて人間の精神というものの根源には生命体という有機体が無機的な環界に対して抱く異和があり、同時にその異和を打ち消したい衝動があり、その結果有機体にも無機的な自然にも還元できない領域をい…

僕もまた長い間手掛けた精神の生産物を、何日かは嬉々として市場へ販りにゆかう。そうすることが、誰かの必要であるならば。(原理の照明)

吉本は書いたものを売るということに醒めた認識をもっています。売文という稼業を旅芸人にたとえています。それはふつうの生活人の下の境涯だという認識です。文学とか芸術という架空の職業がふつうの生活人に対して何かという問題意識は吉本に言わせれば、…