2010-06-26から1日間の記事一覧

〈精神的存在はただ時間によつてのみ変化するが、物体的存在は時間と空間とによつて変化する。(アウグステイヌ)〉(断想Ⅵ)

これは吉本ではなくアウグスティヌスの言葉なので、アウグスティヌスの著作も読んだことのない私にはアウグスティヌスの思想は分かりません。吉本自身の時間と空間の考え方としては心的現象論の序説に出てくる時間化度と空間化度という概念を思い出します。…

人間が何を為すべきかといふことに答へることは不可能だ。人間の為しうることは限定されてゐる。限定された仕事に普遍的な意味を与へうるのは、彼の精神の決定よりほかない。この決定にすべての意味がある。この決定は判断であり、実践ではない。実践とは、常に単純な仕事の連続である。(断想Ⅶ)

精神の決定とは、考え選択することです。選択したら実行、あるいは実践するわけですが、それは手足を動かして行為することだということになります。手足を動かして行う行為、あるいは実践はだから実は単純な仕事の連続だ、というのが吉本の透徹した見方です…