2009-08-29から1日間の記事一覧

「カール・マルクスの資本論は、大凡(おおよそ)すぐれた著書が持っているあらゆる特質……精緻さ、心情の湧出、理論の完璧、現実性を獲得するまで鍛へられた理論…を具へていた。しかも一瞬もゆるむことのない精神の緊張性によって支へられてゐた」(カール・マルクス小影)

私は資本論をちゃんと読んだことがないので資本論について語る素養がありません。私が言えることは吉本がマルクスの思想をどう捉えていたかについてのおおざっぱな自分の理解だけです。マルクスの思想はヘーゲルの思想をどう乗り越えようとしたかということ…

「人はしばしば論理が現象を説明することの出来ないことを以て、論理に対する軽信を述べるが、僕の見解によれば、論理なるものは、現象の説明といふ責任を当初から負ってゐるものではない。若し、論理が何らかの役割を果すべきものとすれば、それは、すべての動因を原理的なものの基本反応に還元し、その基本反応の組み合わせを以って普遍的であり、同時に、近似的であるところの現象に対する一つの法則を獲得するにある」(カール・マルクス小影)

これはこの文章に続く文を読むと分かりやすくなります。「若し現象を論理的に解明しようと欲するならば、その基本反応に若干の偶然的要素を加へて、各人がなすべきところのものであると思ふ」つまり現象というものには様々な偶然的な要素が混入している。し…