2009-08-16から1日間の記事一覧

「ランケの歴史哲学は、支配者の歴史哲学である。Uber die Epochen der neueren Geschichte (より新しい歴史の時代について)を見よ。支配者の意思により動かされた諸事件を記述することにおいて、彼の筆は如何に細やかであるか。ここにはあらゆる人間性の種子は疎外されてゐる。マルクスがその史観から〈人間〉を疎外することによって、却って人間を奪回したことと比較せよ。ランケは、偶然を連鎖することによって必然と考へようとしてゐる。」(原理の照明)

ランケってのはぶっちゃけ読んだことがないです。だから吉本のランケの批評が正確かどうかわかりません。だから一般論でいうしかないですが、支配者の側から書かれるのが歴史というものだから、それを細やかに追うだけの歴史観は駄目だと吉本は言いたいと思…

「マルクスの歴史哲学が提示したテーゼ。すべて抽象的なるものは現実的であるといふことである」(原理の照明)

抽象的なるものというのは観念に属します。モノではないわけです。現実という概念にはモノとしての世界ということと、観念としての世界ということの双方が含まれています。そして観念の世界は目に見える、感覚的に捉えられる具体性に富んだところから、抽象…