2009-06-18から1日間の記事一覧

「神話のすべての特質のうち、何れの神話も持つひとつの性格、それは象徴性といふことだ。神話の象徴性とは、その原始性の産物であり、同時に述語的にはその単純性の産物である。象徴とは常にその原因を向ふ側にもつものでなく、こちら側に持つものであり、それが単純なるものは、象徴的であることの必要且つ充分な証明となるだらう。」(原理の照明)

ここで吉本が神話について考えているのは、やはり天皇について解明したいからだと思います。戦時中吉本は天皇を信じていた。それが生き神様だということを信じていたし、天皇を中心とした秩序を信じていたし、天皇の掲げる戦争の大義を信じていた。ところが…

「それ故、神話の科学的な解明なるものは、すべて無意識の心理学的分析に還元せられざるを得ない。さもなくば、それは考古学の問題に外ならないであらうから。」(原理の照明)

単純で原始的な神話の象徴性というものは何故高度な知識人から庶民の人々までを引っさらう力があるのか。それは無意識に関わるからだ。原始から形成されてきた人類の無意識の分析に還元する、つまりそこに分析を集中させなければ解明できない。現代の人間の…