2008-12-14から1日間の記事一覧

「1950年代に入り、自殺者相継ぐ。プロレタリアートの貧困、中産階級の窮迫は急。電産、金鉱連、ストに入る」(序章)

これは当時の世相であって、書いてあるまんまですね。敗戦後5年経ったあたりの日本の社会の姿を書いているわけです。空爆で主要都市が叩き潰され、働き手が戦地で大量に亡くなっていますから、経済状態がいいわけがない。焼け跡の世界です。 そうした中で吉…

「コミニスト、ファシスト共に民族の独立を主張す。エリアンこれに不信。祖国のために決して立たず。人類のため、強ひて言へば、人類における貧しいひとびとのため」(序章)

社会主義を標榜するイデオロギーも、民族主義を標榜するイデオロギーも、ともに祖国のためという国家主義を超えられない。では貧しい人たちの側に立つという貧民の側主義は希望なのか。その吉本の当時の決意は、多くの現実と観念の津波をくぐりぬけていきま…