2008-06-03から1日間の記事一覧

「ともすれば病理学が僕の苦悩のうちに入りこんできておびやかしたり、卑怯な振舞を僕に強ひたりする」(エリアンの感想の断片)

ここで病理学と言っているのは精神の病理学だと思います。つまり自分が苦しんで考えている時に、精神病についての知識が、俺はうつ病ではないかとか、分裂病ではないかと不安にさせるということを言っているのでしょう。「卑怯な振舞」とは何かよく分かりま…

「僕は、自分が狂人であることを病理学的に承認してはならない。それは、僕自身に対する敗失であり、あの長かった人間の精神史に対しての、僕の冒涜(ぼうとく)でもある」(エリアンの感想の断片)

これは「エリアンの手記と詩」という吉本隆明の長い詩の一部分です。―― ― ない>― ― つける>― ―― ― から>―このエリアンというのは吉本の自画像を託した物語詩の主人公です。このエリアン自身のこの世に生きられないという思いは、吉本が自分に感じていた思い…