2008-05-06から1日間の記事一覧

「何故ならば…。僕はこの何故ならばという言葉が好きになった。何故ならば…。知らぬうちに僕はあの眼に視えない僕の敵たちと論争しているやうだ」(エリアンの感想の断片)

この敗戦直後の若い吉本の予想の通り、吉本の人生は争い、戦いの人生になっていきました。敗戦までは軍国少年として戦争の後方に加わっていたわけですから、生涯ずっと戦っていると言ってもいいわけです。吉本の物書きとしての魅力の大きな部分は、この闘う…

「人間は、権威に向かって求心的である」(原理の照明)

観念を産む宿命にあるのが人間であるなら、観念の宿命は無限に拡大していこうとすることです。無限に拡大していこうとする観念は、無限に拡大した自己、すなわち観念自体の究極の像をうすらぼんやりと描きます。それが権威というものの背光ではないでしょう…