2008-05-03から1日間の記事一覧

「僕は睡眠薬を口に含んで床に就いたが眠れなかった。効能書きには、それで眠れなかったら更に飲んでも無駄だと書かれてあった」(エリアンの感想の断片)

このあたりの初期ノートは、おそらく敗戦後間もない時期に書かれていると思います。敗戦ということを感情で受けとめることができず、思想としても構えを作れない苦しくて恥ずかしくてヤケクソで日を送っていた時期のノートでしょう。 それで不眠になって睡眠…

「絶望!孤独!いやそれよりも、現在の理由もなく痛む頭脳。何ひとつ感じられない憂うつな精神。そのほうがつらい」(風の章)

誰でもそうですが、物書きの初期というのは身体と観念と環境とが渦巻きのように混沌としていて、うざったいと言えばうざったいですが、その物書きの資質のあらゆる原型が込められているという意味では魅力のあるものです。この初期ノートの部分も吉本の極め…