2008-04-21から1日間の記事一覧

● 「人間は抽象的な原因で死を選ぶことは出来ません。何故ならば、死は最も現実的な事実を指すものだからです。死の選択には、当然、原因が要ります。そうと思はれない場合にも矢張り、生理的衰弱があります。」(少年と少女へのノート)

これは人は何故自殺するのか、という問題です。自殺をする人は死の意味づけを自分でする場合があります。例えば三島由紀夫は自衛隊の市谷駐屯地で、自分の腹をかっさばいて、首を盾の会の隊員の介錯で切り落されて死ぬという凄まじい自殺をしました。三島は…

● 「一つの生涯が一つの可能性しか歩めないといふ人間的原則のうちにかくされてゐるものは何か。僕らはここで古代人にかへってみるべきだ」(夕ぐれと夜との言葉)

これは小林秀雄が批評の出発にあたって掲げた「宿命」ということで、以前に書いたことがあります。人はサラリーマンにもなれたろうし、政治家にもなれたろうし、商人にもなれたろう。しかし彼は彼自身にしかなれなかった。血管の中をめぐる真実はひとつだけ…