2008-03-31から1日間の記事一覧

信ずるものひとつなく、愛するものひとつなく、そのうへ動かされる精神の状態がすべて喪はれた時、生きることが出来るのか。生きてゐると言へるのだらうか。 世界は明日もこのやうに寂しく暗い(エリアンの感想の断片)

日本の敗戦は吉本に深刻なショックを与えています。敗戦後の自分を「恥ずかしくてしょうがなかった」と吉本は書いています。私はこの「恥ずかしい」という敗戦時の感想を他の人の体験記から読んだ記憶があまりありません。もちろんそういう思いを抱いた人は…

思想家のゐない国―不思議な国ジャポニカ。芸術家のゐない国―ああ彼ら物まね師の精神は僕を慰めない。 すべてのものを小人のやうに均等化する精神によって、ジャポニカはその社会の秩序を維持してきた(エリアンの感想の断片)

この文体には、ナルシズムもあり自己劇化したい(自分を主人公にしたい)ところからくる誇張も感じられます。平たく言えば少しカッコつけているところがあります。それでも、こうした言葉の背後には本当の怒りと自己嫌悪が感じられ、読むに耐えさせます。 そ…