2016-12-10から1日間の記事一覧

○科学は力である。それは大自然を抽出して来て人間のいとなむ社会生活に適合調和せしめやうとする力である 真実を行く知性も、透明な理性も、妙味のある悟性も、それとは相背馳せざるを得ない力である 宗教が人間性を挙げて大自然のふところに還らうとする点に於て、それは全く反対の方向に動いて行く力である (〔科学者への道〕)

この科学と宗教ともうひとつあげれば文学とが、吉本の深く探求したもので、そして探求すればするほど別々の方向に自分を連れていくことを感じるのでしょう。そしてそれらを統合する方法を構想していくようになります。シモーヌ・ヴェイユについての吉本の考…

○アインスタインの相対性原理はアインスタインの人間性をはなれて存在し得るのである 彼がユダヤ主義的な自由主義を抱いてゐても、アメリカ政府の先棒をかついで対日経済絶交を叫んでも、相対性原理は存在するのである 即ち相対性原理はアインスタイン以外の人によつて同様に称へられてもよい性質のものである 科学はかかるものである (〔科学者への道〕)

昔はアインスタインと言ったんですね。アインシュタインを例に、科学の発見者を越えた普遍性のことを言っています。吉本が自分の思想の先に見ていたものも、こうした普遍性だと思います。吉本という探求者、発見者は万人の思想の方法のなかに普遍性として沁…