2016-09-26から1日間の記事一覧

深い静寂について、又茫漠として意識の遠くにある海について、あきらかに今沈まうとしてゐる人類の寂しい夕ぐれについて、あの不気味な地平線の色について、誰が僕のとほりに考へるか。(夕ぐれと夜との独白(一九五○年Ⅰ))

こういう西欧の翻訳された文学に影響された比喩を使って書くことは初期ノートの特色ですが、それは若いからだと思います。「今沈もうとしている人類の寂しい夕ぐれ」なんて照れくさい比喩はだんだん吉本は使わなくなります。そういう比喩を自分に許すときに…

風景は僕の精神のとほりに歪んでゐる。虚無は霧のやうに拡がつて、樹木は棒杭のやうに林立してゐる。そのなかに人々が嗤(わら)ひのやうに移動してゐた。(夕ぐれと夜との独白(一九五○年Ⅰ))

イキっとんなあ。 おまけありません。