2017-05-14から1日間の記事一覧

放浪と規律。僕はこの両極に精神を迷はせてゐる。刻々と僕が人生における一つの岐路に近づいてゐるといふひとつの予感が、僕を一層不安の方へつれてゆく。僕は放棄すべきなのだ、一切の由因を。この国の芸術家達が一様に悩み抜いた分裂が僕の心をも又占めはじめてゐる。恐らくこれは僕の負ふべき僕のゐる精神と社会との風土が負ふべきものなのだらう。だが僕はそれを逃れることは出来ない。人間は環境を必然として受入れることの外に、何もなし得ないから。この国は悪魔の国だ。しかも意地の悪い、卑小な悪魔のゐる国なのだ。(〈夕ぐれと夜の言葉〉

なにを言っているのかよくわかりません。昔この文章を読んだとき、感銘を受けたのは自分の悩みを自分の責任ではなく自分のいる風土の責任だと考えているところでした。すべてを自分の肩に背負わせてはならない、ということですね。自分だけが背負うと風土、…

孤独は凍結するものだ。僕の資性はいま何も語らなくなつてゐる。(〈夕ぐれと夜との言葉〉)

宗教というものは私たちには遠いものですが、しかし世界はまだまだ宗教が大きな力をもっている段階にあります。また宗教にはさまざまなものがありますが、どこかに宗教が人間をとらえる普遍性があるはずです。そのひとつは臨死体験の普遍性なのだと思います…